私立小中学校の不登校割合と特徴は?中高一貫校での実例と親の関わり方
この記事の監修者
峰嶋 聡子(コクーンアカデミア代表 / 不登校の娘を持つ母 / 学習塾指導15年)
- この記事の監修者
- データで見る私立小・中学校の不登校の現状
- 【事例紹介】私立小・中・高で不登校を経験し大学進学を果たしたK君の場合
- 保育園時代の「行き渋り」と小中学校の不登校の関係
- 小学4年での長期欠席から小6での「完全不登校」へ
- 小学校側の対応:私立ならではの「出席に関するスタンス」
- 塾を居場所に中学受験へ|難関大学附属中学での再スタート
- 中学・高校での新たな不登校(コロナ禍・病気による休学)
- 自分で学びたい道を見つけ、自力で掴み取った大学合格
- 不登校の経験から考える親の関わり方〜「寄り添って待つ」とは?
- 私立小中学校の不登校生がフリースクール等に通う場合の「出席扱い」について
- 【その他関連記事・人気記事のご紹介】
- 監修者 峰嶋 聡子
データで見る私立小・中学校の不登校の現状
「不登校」について語られる場合、一般的に公立小学校・中学校を前提としている場合が多いです。そうなるのも無理のない話で、例えば令和6年度調査で見ると、小学生児童約599万人に対して私立小学校に通う生徒は約8万人、わずか1.3%にすぎません。中学生約319万人に対して私立中学校に通う生徒は約25万人、これも7.9%の存在です。更に、不登校児童生徒の割合も、小学校の場合で 公立 3.8%、私立 2.3%、中学校で 公立 9.1%、私立4.5% と、公立の学校よりも私立の学校の不登校児童生徒の割合は低めです。
つまり、私立小・中学校での不登校児童生徒は小中学生全体の中で見ると、かなりの少数派なのです。
そのため、私立小・中学校での不登校についての経験談や情報は不足しています。
そこで、今回は私立小学校・私立中学校(中高一貫)で小中高校生時代それぞれを不登校がちに過ごしたK君のお母さまにお話しを伺うことができましたので、事例を紹介します。
【事例紹介】私立小・中・高で不登校を経験し大学進学を果たしたK君の場合
保育園時代の「行き渋り」と小中学校の不登校の関係
保育園時代に行き渋り傾向のあったK君。5歳ごろからお友達のいる教室に入れなくなってしまったそうです。
園の先生から「好きなおもちゃを持ってきていいよ」と言ってもらったため、大量のおもちゃを抱えて登園し、登園後も職員室で過ごしていました。小学校で言うところの「別室登校」のような状態です。この経験から、お母さまもK君が集団生活になじみにくいところがあるのかな?ということを感じていました。
ところで、保育園時代の行き渋りと小中学校での不登校には相関があるのでしょうか?色々な方の経験談を聞く限り、ここは一概には言えないという印象です。
K君のように幼稚園や保育園になじめなかったお子さんが、小学校入学後も学校生活に負担を感じやすいという例がある一方で、保育園や幼稚園を休むことなく元気に通っていたお子さんが小中学生になって突然、学校に行けなくなる・・・というケースもあります。
さて、幼少期は集団生活になじみにくかったK君ですが、入学した私立小学校では低学年の間は問題なく学校に通うことができました。
小学4年での長期欠席から小6での「完全不登校」へ
そんなK君、小4の宿泊学習から帰ってきた後に高熱を出して学校を1週間休むことになってしまいました。ようやく熱が下がり、さあ登校・・・となったその日からK君の不登校傾向が始まります。
ただ、行き渋る日でも学校に送っていけばその後は元気に過ごせていたため、休みがちになりながらも何とか通学を続けていました。小学4・5年生の間は、親の送迎によって何とか、不登校ではなく「学校を休みがち」な生活で留めることができました。
ところが、6年生のある出来事をきっかけにK君は「完全不登校」の状態に陥ってしまいました。ある出来事 というのはクラス内の生徒同士のトラブルでした。
K君自身はトラブルの当事者ではありませんでしたが、クラスの良くない雰囲気を見ることも関わることもK君には辛く感じられる事だったので、学校に行けなくなってしまったのです。

小学校側の対応:私立ならではの「出席に関するスタンス」
さて、完全な不登校状態になってしまったK君ですが、学校はどのような対応をしたのでしょうか。
K君のお母さまはあっけらかんと
「私立は学費を払っていればいいらしくて、出席に関しては何も言われなかったわー」
と言います。「学費さえ払っていれば」はどうやらジョークで、実際には定期的に学校の先生から連絡は受けていたようですが、いずれにせよ、学校に来るように強く働きかけられることはなかったようです。
というのも、その私立小学校は、大半のお子さんは卒業後の進路として私立中学受験を目指していました。6年生の後半になると、受験準備のため学校を休んでいる生徒もいたため、K君の欠席はあまり目立つものではなかったようです。
塾を居場所に中学受験へ|難関大学附属中学での再スタート
学校には行けないものの、塾には行くことができていたK君は、昼間の時間の多くを塾で過ごしました。塾が安心できる居場所になっていたのです。
こうして、塾でしっかり学んだ成果もあって、K君は難関大学附属の中学校に見事合格します。このまま順調にいけば、高校受験も大学受験もせず、大学進学が約束されているというルートです。
お母さまもさぞ安堵されたのではないかとその時の心境を伺ってみたところ、実は、入学した中学校の校風はお母さまから見ると、K君に合っているとは思えなかったそうです。
そのため少し心配されていたようでしたが、さすが、K君自身が選んで受験した学校。K君にとってはとても良い環境だったようです。6年生での不登校は嘘だったように、毎日元気に登校できるようになりました。
「これまでの不登校が嘘だったように登校できるようになる」・・・これは不登校のお子さんにはよくある話です。環境が変わると、それがきっかけで学校に行けるようになるということは珍しくありません。
中学・高校での新たな不登校(コロナ禍・病気による休学)
こうして順調に中学校生活を送っていたK君でしたが、コロナ禍での休校後、登校を再開する際に(当時、中学3年生)、再び「通学」する習慣が途切れてしまいます。というのも、重度のアトピー体質だったK君はマスクをすることができません。そのため、休校解除後も登校を控えなくてはならなかったのです。「学校に行きたいのに行けない」不登校でした。
さらに、薬の副作用などの原因が重なり、高校2・3年生では長期療養が必要な病気にかかり、休学を経験します。小学生時代とは事情は異なりますが、再び学校に通えない日々を過ごすこととなりました。
ただ、K君の学校の場合は大学附属の私立高校ということもあり、学校自体、「大学」のような自由さがあったそうです。「大学」は、生徒によって時間割が異なることや、出席状況が成績に関係する度合いも授業によって異なることもあり、それぞれが思い思いの時間に登校してきますが、K君の高校は既にその雰囲気があったということです。
そのため、K君の高校時代の不登校もあまり問題にならず、お母さまもプレッシャーを感じずに過ごすことができました。
もちろん、登校しなかった代償はゼロではなく、系列の大学の志望する学部に内部進学するには成績が基準に達することはできませんでした。そのため、望まない学部に進学するか、他大学を受験するかの選択をすることになり、K君の場合は、後者の「他大学受験」を目指すことになりました。
自分で学びたい道を見つけ、自力で掴み取った大学合格
K君は現在大学1年生です。系列の大学とは違う大学に行っています。有名難関大学の付属中高に行っていたことを考えると、知名度や偏差値という点では及びませんが、K君が意欲を持って通っていることが何よりだと、お母さまは安堵した様子で話してくれました。
その大学は、K君が病気の経験から関心を持つようになった「生命科学」の分野が学べる大学で、K君自身が見つけてきて受験を決めました。予備校などには通わず、自分で勉強して合格したそうです。
「とりあえず大卒」「できるだけ高い偏差値のところ」こんな選び方で大学受験をし、入った後は適当に単位をとって卒業・・・私たち親世代にとって大学はそんな場所でした。(「私は違う!」という方はご容赦くださいね。類が友を呼んでしまったのか?私の周りはそうでした。)
学びたい分野を見つけて、自力で合格を掴み、入った後もしっかりと学ぶ。こういう事ができているK君、本当に素晴らしいです。

不登校の経験から考える親の関わり方〜「寄り添って待つ」とは?
K君のお母さまにK君の良いところを聞いてみました。「良いところが無い!」などと毒づきつつも、「学校に行けなくなったり、病気になったり、色々な事があったけど、どんな時も前向きだったところがいいところかな。」とおっしゃっていました。
これは私から見ると、お母さまの良いところでもあるように感じました。「せっかく大学附属の私立中学に、高い塾代を払って合格したのに」世間の価値観にあてはめるとこう言いたくもなるような状況だと思いますが、K君のお母さまからはそういう後悔の言葉は一切聞くことがありませんでした。
また、現在、お子さんの不登校で悩んでいるご家庭に向けてのアドバイスも伺いました。
「寄り添って待つことが大事・・・ということかな。子どもは何も考えていないように見えるけど意外に考えているから。待つのは結構大変ですけど。」
という言葉をいただきました。強く共感できる言葉です。
K君のお母さまも、待ちきれず、たくさんの選択肢を与えてしまったこともあったそうです。でもお子さんはすぐには反応してくれませんでした。
しかし、「反応が無くても、考えているように見えなくても、ちゃんと考えていた・・・。」自ら選び、自分の力で合格した大学に進んで通っているK君を目の当たりにし、それを今、実感しているそうです。
私立中学・高校での不登校となると、その環境を手に入れるために投資してきた時間も金額も少なくはないため、親としての葛藤も相当なものがあるのではないかと思います。今回、お話しを伺って感じたのは、K君のお母さまがそうやって手に入れた環境にしがみついていなかったということです。それよりも大切にしたのはK君の気持ちでした。その結果、K君は後ろ向きになることがなく、自分の学びたい道を見つけることができたのだと感じました。
私立小中学校の不登校生がフリースクール等に通う場合の「出席扱い」について
K君の事例では出てこなかった内容をフリースクールの立場で私から1点だけ補足します。K君の場合はあまり気にする必要がなかったのですが、私立中学で不登校になり、他の高校を受験することになった場合、調査書に記入される「出席日数」が気になる場合があります。
公立中学では、学校長の判断によりフリースクールでの学びを「出席」として扱うことができますが、これは私立も同じです。
私たちコクーンアカデミアでもコクーンアカデミアでの学びが「出席」として認められるよう、生徒さんの在籍校と個々に相談をし、最大限の日数が出席の扱いになるように努めています。(在籍小中学校との連携)
不登校となった時期があるお子さんが「人生につまずいた」などと思って欲しくないのです。また、K君にとっての塾がそうであったように、家庭以外に安心できる「居場所」を提供したいと思っています。
この記事を読んでくださった皆さんにとって、そういう場所が見つかるように、また、この記事がそのためのヒントとなれば幸いです。
【その他関連記事・人気記事のご紹介】
・不登校生でも通いやすい!昼間の塾の探し方
・【やれやれ期】 不登校の子どもに必要な「回復期間」はどのくらい?
・コクーンアカデミア考案「保護者の8ステップ」
監修者 峰嶋 聡子
コクーンアカデミア代表/株式会社スタディラボ上席執行役員/首都圏大手学習塾にて中学受験算数指導15年/一般財団法人日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントコンサルタント®/不登校の娘を持つ母/学習塾のノウハウと不登校保護者の視点を組合わせたフリースクールを創業

記事一覧に戻る
見学・体験、随時受付中!
お気軽にご相談ください