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【やれやれ期】 不登校の子どもに必要な「回復期間」はどのくらい?

2025年9月22日

【やれやれ期】 不登校の子どもに必要な「回復期間」はどのくらい?

不登校の子どもが元気になるのをいつまで待てばいいのか?

「元気になると自然に子どもは動き出します!それまで待つことが重要です。」「今はエネルギーがなくなっているので、溜まってくるのを待ちましょう。」・・・不登校に関する書籍や講演会などでこの言葉を聞いた事のある方は多いと思います。この「待つ」ということがどれほど親たちを混乱させていることか。今回は、一般論だけでなく、不登校の子を持つ親としての経験をもとにこのテーマについてお話しします。

不登校の「待つ」とは1か月や2か月の話ではない

不登校の子どもについて「元気になるのを待ちましょう」とは言われるものの、どのくらいの期間が必要なのかはあまり語られません。ただ、短い期間で済んだ方が勉強の遅れなども少なくて済むため、短期間であることをつい期待してしまいますよね。1か月や2か月くらいをイメージする方も多いのではないでしょうか。

私の場合は、更にせっかちで、1週間休んだら「さあ、もう元気になったかな?」などと思い、「久しぶりに1時間だけ行ってみよう。あまり休むと戻りにくくなるし・・・ね?」などと、登校刺激を与えていました。
確かに、1時間だけとか、先生と会うだけとか、ハードルを下げてあげると何とかかんとか行けることもあるのですが、この度重なる登校刺激は娘の「生気」を奪っていってしまいました。

先生と挨拶をするだけの登校でさえも、学校に近づくと身体が硬直し、一歩も動けなくなり、ポロポロと涙を流すようになりました。言葉に出さないだけで相当な我慢をしていたのだということがわかり、その後は家で過ごすようにしたのですが、今度は部屋から出てこなくなってしまいました。いわゆる「ひきこもり」状態です。
度重なる登校刺激が「できなかった」という失敗経験を繰り返すことにつながり、本人の自己肯定感をどんどん低下させてしまったのだと、後になってわかりました。

「待つ」期間を教えてくれたのは?

「一体いつまで待てばいいのだろう?」この問いへの明確な答えは、なかなか見つかりませんでした。専門家の書籍でも「人それぞれ」「長い場合は数年」などと書かれており、実態が見えません。(本当にコレ・・・「人それぞれ」とか名言チックな事言ってないで、もうちょっとヒントちょうだい!と、当時は悶絶しました笑)

そんなある日、こんなLINEのオープンチャットでの書き込みを見かけました。

「兄弟で不登校を経験。上の子は5年かかったが、下の子は上手に働きかけることができ2年で済んだ」

「数週間休ませればいいというのは間違っていた。数か月は覚悟しないと。」と少しは「待つ」ことの意味がわかったつもりでいた私にとって、「年単位」で語られるこの投稿は衝撃でした。数か月どころではなく、「年単位」を想定しなくてはいけないことをこの時初めて思い知ったのです・・・。

不登校の回復を「待つ」期間に関する調査は?

不登校の「待つ」期間について明確な答えが無いのは、”期間”に注目したそれなりの規模の調査が行われていないからだと思います。また、何をもって「不登校の終わり」と解釈するのかもよくわからないので調べるのが難しいという部分もあります。1日でも再登校すれば「不登校は終わり」なのか?通信制高校に進学した場合、学校に「通う」という行動はしなくても「終わり」と考えていいのか??など・・・。
そこで、個人的に、不登校の保護者が集まるLINEのオープンチャットでこんな事を数えてみました。

不登校の回復を「待つ」期間、リアルな声から

不登校保護者が集まる掲示板やチャットでは発言する際に「子どもが不登校〇年目の男の子なんですが・・・」といった基礎情報を書き添えている場合がよくあります。その「〇年目」の部分を拾ってみました。

3年目、5年目、5年目、6年目、6年目、5年目、5年目、5年目、3年目、2年目、3年目、1年目、5年目、3年目、4年目、4年目、4年目、3年目、3年目、4年目、3年目、5年目、3年目、5年目、5年目、5年目、4年目、3年目、2年目、2年目、2年目、1年目、3年目、3年目・・・。

同じ人の発言は数えないように気を付けながら目視で30件あまり拾ってみました。4年、5年といった書き込みが多く、表現は不適切ですが・・・1年目や2年目が何だか「初々しく」見えてしまいます。ご自身を「プロ不登校保護者」と紹介する6年目の方もいらっしゃいました笑。
こういう場で自分の経験を発信できる方が、ある程度年数を重ねている方が多いという傾向はあるにせよ、「3年以上の不登校が珍しくない」というのは伝わることでしょう。

不登校児童生徒は小学生の52.2%、中学生の61.4%が前年からの継続

さて、不登校の”期間”に注目したそれなりの規模の調査が無いということを先ほど申しましたが、「複数年の不登校者が多いのだろうと察することができるデータ」は存在しています。

私の記事でも何度も紹介している文科省の調査「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、「不登校の状態が前年度から継続している児童生徒数」というものを調べています。令和6年度の調査で「不登校」に計上されていた児童生徒のうち、何人が令和5年度の調査でも「不登校」に計上されていたかを調べたものです。つまり、「2年連続不登校」がわかるということです。

調査結果では、小学生128,966人の不登校児童のうち、67,285人(52.2%)、中学生216,266人の不登校生徒のうち132,857人(61.4%)前回調査でも不登校でした。また、学年別でみると、小2 42.1%、小3 47.3%、小4 50.4%、小5 53.2%、小6 58.7%、中1 39.6%、中2 62.9%、中3 76.0% と、小学校・中学校ともに学年が上がるにつれて高くなる傾向にあります。データからも、不登校が2年以上にわたることが珍しくないことがよくわかりました。

参照:令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)94ページ

「待つ期間は人それぞれ」この言葉に苦しめられた経験から、つい、「待つ期間」について深堀りしてしまいました。さて、最後に、「待つ」期間が年単位に及ぶ長期だということを覚悟して良かったことを紹介したいと思います。

不登校を「待つ」期間が年単位だとわかって良かったこと

不登校に向き合う期間は数週間・数か月の話ではなく、「年単位」に及ぶ・・・先輩保護者の投稿からそれを察して、衝撃を受けた私でしたが、その後の変化を考えると「良かった」と思えることがたくさんありました。ここから先は個人的な経験に基づく話ですが参考に紹介します。

良かったこと①小さな変化に一喜一憂しなくなる

数週間や数か月での変化を求めていた頃は、「笑顔を見せてくれた」「友達の話をしていた」など、小さな変化にいちいち反応して、「ちょっと前向きになったのかもしれない」などと次のアプローチをしようとしてしまっていました。これがいわゆる「過度の登校刺激」につながるとも知らずに・・・。過度の登校刺激とは、登校を促すための働きかけが「登校へのきっかけづくり」という本来の目的は果たせず、本人に負担感だけを与えてしまうことです。

その結果、再登校が上手くいかないと、親も落ち込みますが、子どもは自分自身に対する不甲斐なさに加えて、そんな親を見て「親に申し訳ない」という精神的な負担も背負い込むことになります。

しかし、「何年かかけて元気になればいい」と気長に考えられるようになると、このようなせわしない対応で子どもを追い込むことが少なくなります。

良かったこと②子どもが「学校に行く」以外の事はできるようになる

「子どもが元気になるためにはまず親が元気になることが大切。」このことは強く実感している事実です。年単位を覚悟し、親が小さなことで一喜一憂することが無くなると、子どもも落ち着いてきます。このプロセスはとても長いので、別の機会に丁寧に紹介していきたいと思いますが、落ち着いて対応してあげると「学校に行く」以外の事はできるようになります。その「できること」の中には「勉強」も含まれます。

良かったこと③学校に関わる手続きが進められる

「明日は行けるかもしれない」「来週は行けるかもしれない」こう考えているうちはできないことが色々あります。
例えば
・学校から貸与されているICT端末を持ち帰る
・学校に置きっぱなしになっていた教科書類を持ち帰る
・原則、毎日欠席するので欠席連絡をしなくて良いか相談する
・学校で販売される家庭科や図工の教材を購入しない
・給食を止める
などです。
こうしたことは、「それをやってしまったら、もう終わり」のような気がしてしまい、なかなか踏ん切りがつかない内容です。でも、実は、例えば給食などは大抵は依頼すれば数日~1週間以内(自治体による)で再開することができますし、家庭科や図工の教具も市販品で代用することもできます。調べてみると「もう終わり」ではないことばかりです。

こういう、割り切りができなかった事柄について、合理的な対応ができるようになったのも良かった点でした。

良かったこと④代わりの居場所を探すことができる

「これは長期戦だ」と思ったからこそ、代わりに勉強ができる場所、代わりに友達を作れる場所を探そう、と別の居場所を探すことができるようになりました。
我が家の場合は、良い場所は見つけられたのですが、娘が一人で行くには電車の乗り換えなどもあり、ちょっと難しく通える頻度が少なくなってしまったのが残念な点でした。


そのような経験があったため、不登校の子どもが「通える」居場所を少しでも増やしたい、という思いで「コクーンアカデミア」を開校しています。学習塾での指導経験と不登校保護者としての経験、加えて、運営会社が教育ICTツールを塾や学校向けに販売しているという強味を活かし、安心できる居場所づくりを心掛けています。よろしければ、居場所の候補として、見てみていただければ幸いです!


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監修者 峰嶋 聡子

コクーンアカデミア代表/株式会社スタディラボ上席執行役員/首都圏大手学習塾にて中学受験算数指導15年/一般財団法人日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントコンサルタント®/不登校の娘を持つ母/学習塾のノウハウと不登校保護者の視点を組合わせたフリースクールを創業

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