2026年4月15日
【読みトキ】タツキ先生は甘すぎる!(日本テレビドラマ)はここがリアル
フリースクールを舞台にしたドラマが始まりました
2026年4月11日(土)21:00から日本テレビ系で「タツキ先生は甘すぎる!」というドラマが始まりました。このドラマは増え続ける不登校児童・生徒35万人の受け皿の1つとしても注目される「フリースクール」を舞台にしたドラマです。
フリースクールの教室長”タツキ先生”を演じる町田啓太さんが主演、他に、元中学教師で自身にも不登校経験がある新入りスタッフ”しずく先生”として松本穂香さん、アルバイトスタッフとして寺田心さん、フリースクールの代表として江口洋介さんらが出演しています。脚本家は『ライオンの隠れ家』『おっさんずラブ』『わたしの家政夫ナギサさん』などの話題作を手掛けた徳尾浩司さんです。
私自身が不登校の娘を持つ母親であり、フリースクール「コクーンアカデミア」を開校しているため、このドラマには大変注目していました。もともとドラマは大好きですし・・・!
そこで早速、第一話を視聴しました。監修を不登校ジャーナリストの石井しこうさんがなさっているとあって、非常にリアルに描かれていたと思います。それはもう、リアルすぎて不安になるほどに・・・。
「リアルすぎる」というのは、経験者にしかわからない感情の機微が丁寧に描かれているという誉め言葉なのですが、一般の視聴者には伝わりにくいのでは?とも思い、(そこが「不安」な要素なのですが)勝手ながら、本記事では、「ここがリアル」を解説してみたいと思います。
TverやHulu、Netflixでこれから視聴する予定の方は、ここから先の内容はネタバレになりますので、視聴後に戻ってきていただけたら幸いです!
タツキ先生は甘すぎる!ここがリアル①:フリースクールが自由すぎて戸惑う
「勉強はほとんどやってないですね笑」・・・戸惑う母
フリースクールに問い合わせに来た母娘がタツキ先生と面談をする場面で、
(瀬戸朝香さん演じる母親)「あの、こちらの皆さん、勉強とかって・・・?」
(タツキ先生)「まあ、勉強はほとんどやってないですね笑」
というやりとりがあります。
屈託のない、最高に爽やかな笑顔で「勉強をほとんどやっていない」と言う先生。戸惑う母親(瀬戸朝香さん)。慌ててフォローするしずく先生(松本穂香さん)。この場面で描かれるそれぞれの心情がとてもリアルだと感じました。
保護者の立場で見れば「そりゃそうだ」です。「学校の代わりに行こうと思っているのに勉強しないって、じゃあ何するの??」・・・となりますよね。
私自身も娘が学校に行けなくなった当初、まず心配したのが勉強の遅れでした。次に心配したのが「友だちがいないこと」でした。そこでフリースクールを検討するのは自然な流れですが、それに対して「(勉強を)ほとんどやってないですね笑」と言われたら、戸惑うのは当然です。
劇中のしずく先生はその母親の心中を察してとっさにフォローしたのですから、優秀なスタッフさんですね笑。
不登校の子どもに必要なのはまずは安心できる居場所
タツキ先生がパンチの効いたセリフを言うのはドラマを面白くするための演出だと思いますが、「フリースクールって勉強しないの?大丈夫?」と思われてしまっては、私も困りますので(汗)、僭越ながらタツキ先生の真意を補足します。
学校に行けなくなっている子どもは多くのものを抱えすぎてパンパンになっている状態です。抱えているものが何なのかは本人にさえわからないかも知れません。
「自分のペースで生活できないことへのストレス」
「勉強についていけないという不安な心」
「友だちと話を合わせて生活することでの疲れ」などなど・・・。
いずれにせよ、抱えている重荷を一旦全て下ろしてからでないと、新しい何かの事など考えられないのです。私はよくこれを「足し算をする前にまずは引き算から」と伝えています。
ドラマの中ではこの場面で母親が「早く普通の生活に戻って欲しいんです。」という言葉を発していました。タツキ先生はこの言葉を聞いたので、重荷を下ろすことなく、別の荷物を持たせようとしているお母さんに警鐘を鳴らしたのだろうと思います。「勉強道具を全て捨てたらいい」とまで言ってましたから・・・。

抱えている重荷を一旦全て下ろす姿(=引き算をしている課程)は、他人から見ると、ただ怠けているようにしか見えません。それを誰からも非難されず安心してできる場所がフリースクールなのです。
余談ですが、タツキ先生はちょっと説明不足、言葉足らずですね。私が上司なら、「こらこら」と言っているところです笑。
タツキ先生は甘すぎる!はここがリアル②:不登校の原因が結局よくわからない
いじめっ子も毒親も出てこないのになぜ・・・?
これまで、ドラマなどで描かれる不登校やひきこもりの子どもは、大抵、家庭環境が劣悪だったり、友だちから壮絶ないじめをうけていたりしたものでした。しかし、「タツキ先生は甘すぎる!」には意地悪な友達も毒親も出てきません。
学校の校外学習で、周囲と歩調を合わせた行動がとれなかった少女に「置いていくぞ!」と伝えて班行動を優先させた男の子は、「(少女の不登校は)僕のせいです」と自ら名乗り出てお母さんと一緒に謝りに来てくれました。非常に立派です。
お母さんについても、演じる瀬戸朝香さんの雰囲気そのままの優しくて素敵な母親です。子どもの意志を無視して無理やり学校に行かせようとしたり、怒ったりすることもありません。ただ、ひたすらに娘を心配して寄り添ってくれています。
しかし、一見、不登校の「原因」もしくは「きっかけ」だと思われた校外学習の一件が決着しても少女の心は晴れませんでした。
これは非常にリアルだと思いました。不登校児童や生徒と身近に接した事のある方なら「そうそう」と思える展開でしたが、一般の視聴者にとっては「意味不明」だったのではないでしょうか。
「クラスメイトはちゃんと謝ってくれて、家族も寄り添ってくれて、何が不満なんだ?わがまま言うな、そんなことで社会に出られるのか?」と憤りを感じた方もいるかも知れません。
親による「不登校の原因探し・解決行動」が子どもを追い込んでいた?
この少女の不登校について、原因らしきものは江口洋介さん演じるフリースクールの代表が言葉にしています。
「集団生活の息苦しさが少しずつ積み重なっていったのかもしれないなぁ」と。
また、少女が描いた絵を見て、タツキ先生は、少女が自分の本当の気持ちを家族に伝えられていないのではないか?と察しました。

少女が「本当は学校に行きたくない」という気持ちを家族に伝えられなかったのは、「普通の生活に戻れるように」と一生懸命な母親の期待に応えようとする健気な気持ちゆえでした。母親の愛情が知らず知らずのうちに少女を追い詰めていたのでした。
「何とか原因を見つけて、解決してあげたい」というのは子を思う親ならば当然の心情です。母親がタツキ先生に聞いた
「不登校ってどのくらいで治りますか?」
という言葉にもその気持ちが表れていました。
しかし、劇中で、母親と一緒になって原因探しをしようとする新人のしずく先生に対してタツキ先生は
「いいよ、そんなことしなくて」
と吐き捨てるように言います。恐らく、タツキ先生は原因探しが招く弊害がわかっていたのでしょう。
不登校の原因は、実は当の本人でさえも上手く言語化できていない場合がほとんどです。「自分でも行かなきゃいけないと思っているし、行きたいと思っている。でも行けない。」・・・そんな「今」の苦しさを理解されぬまま、「何があった?」「いつからそう思ってた?」と戻ることのない「過去」の事ばかり問われても心が晴れることは無いのです。
タツキ先生は甘すぎる!第一話から感じた2つの大切なこと
今回の第一話を通して、私が改めて感じたことは、次の2つに集約されます。
ひとつは、
フリースクールは「安心して自分を取り戻せる場所」であるということ。
もうひとつは、
原因探しよりも、子どもの「今」の状態を大切にすることの重要性です。
不登校になると、どうしても「なぜこうなったのか」「どうすれば元に戻るのか」と、原因や解決策を求めたくなります。
それは親として、とても自然なことです。
しかし、ドラマの中で描かれていたように、子ども自身も言葉にできないまま、さまざまな思いを抱えていることが少なくありません。
だからこそ、まず必要なのは、原因を突き止めることよりも、
そのままの状態でいられる時間や場所を確保することなのだと、改めて感じさせられました。
今後の展開にも注目していきたいと思います
「タツキ先生は甘すぎる!」は、今後どのように不登校やフリースクールを描いていくのか、とても気になる作品です。
現場にいる立場としても、そして一人の親としても、共感する部分や新たな気づきがこれからも出てきそうだと感じています。
今後も視聴を続ける中で、気づいたことや感じたことがあれば、またこうして記事にしていきたいと思います。
同じように悩んでいる保護者の方にとって、少しでも参考になる情報をお届けできれば嬉しいです。
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・コクーンアカデミア考案「保護者の8ステップ」
監修者 峰嶋 聡子
コクーンアカデミア代表/株式会社スタディラボ上席執行役員/首都圏大手学習塾にて中学受験算数指導15年/一般財団法人日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントコンサルタント®/不登校の娘を持つ母/学習塾のノウハウと不登校保護者の視点を組合わせたフリースクールを創業

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