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【なぜなぜ期】不登校は親のせい?~甘やかし?過干渉?放任?~

2026/5/9

【なぜなぜ期】不登校は親のせい?~甘やかし?過干渉?放任?~

子どもが不登校になると、多くの親が「なぜ?」とその原因を探ろうとします。私たちコクーンアカデミア(フリースクール&第一学院高等学校提携施設)では、この時期を「なぜなぜ期」と名付けています。(参照:経験者納得!元気になるまでの8ステップ

この「なぜなぜ期」には、子どもが不登校になったのは学校の先生のせい?友達のせい?子どもの発達特性のせい?など、様々な原因を探ろうとしますが、自然な流れで「もしかして親のせい?」という疑問を持つことになります。

子どもの不登校経験を持つ親は、この疑問に対して、一体どのような着地点を見出しているのでしょうか。今回はこの「不登校は親のせい?」という疑問に向き合ってみたいと思います。

不登校の子を持つ親は、どんな事を調べている?

インターネットで検索をする際に「不登校×親×???」の組み合わせで検索する際、この「???」の部分にどんな言葉が使われているのかをSEOツール(検索順位がチェックできるツール)で調べてみました。特に多かった言葉は大別すると以下の2パターンです。

「不登校×親×メンタル崩壊」が一番多く検索されている

一番多かったのはこの組み合わせでした。
他に似た意味合いで「不登校×親」の後に「疲れた」「ノイローゼ」「しんどい」「限界」といった言葉も検索に使われていました。

不登校が増加していることに対しての分析として、「親も不登校を容認するようになった」などと言う記事を見たことがありますが、どこが容認??と思う文言の数々ですね。不登校の子を持つ親の苦しみが伝わってきます。

私自身も、不登校の子を持つ親なので、このような時期があることは身をもって体験していますし、しかも、それは乗り越えたと思っても、何度でもぶり返す感情であることも、とてもよくわかります。

そのため、こうした不安をできるだけ一人で抱え込まないよう、皆で一緒に乗り越えたいという思いで、本記事のような情報発信をさせてもらっています。

「不登校×親のせい」「不登校×親×責任」は次に多い検索ワード群

今回とりあげるテーマ、「不登校は親のせい」という言葉も「メンタル崩壊」に次いでよく検索されている言葉です。ほかに、「不登校×親」の後に続けて「おかしい」「特徴」「甘い」という組み合わせの検索も行われています。
いずれも、子どもの不登校に親の性質が何かしら影響しているのではないか?と探ろうとする意図が感じられる検索ワードです。

ところで、実際、これらの言葉で検索するとどのような記事が出てくるのでしょうか?

検索してみると多くの記事が「不登校は親のせいではありません」と否定しています。そして、その上で、「特徴をあげるとすると・・・」といくつかの「不登校の親の特徴」を紹介しています。

それらの記事を見ると、不登校の親は「甘い」「過保護」「真面目」「心配性」「教育熱心」「協調性がある」などなど、様々な特徴が出てきます。特に「甘い」「過保護」などのネガティブな特徴については「そうかしら・・・。」と不安になりますよね。

1,000人以上の親と接したから断言できる!不登校の子を持つ親は「普通の人」です

私には、同じ不登校の子を持つ保護者の仲間がいます。また、仕事がら、不登校の子を持つ保護者と接することも多いです。
更には、学習塾で勤務していた時代には多くの「塾通いをする子どもの保護者」とも接してきています。接してきた保護者は1,000人を超えるでしょう。

学校に行き、更に塾にも行く、こんなパワフルな子ども達の親と、学校にも習い事にも行けない子ども達の親・・・両方と接してみて言えること。それは「不登校の親にだけ見られる特有の『特徴』なんて無い」ということです。そう、不登校の子を持つ親は「普通の人」です。

ここからは、不登校の親を苦しめるありがちな「誤解」を、紹介していきます。

母親が働いていると不登校になりやすい?

「お母さんがずっと働いているから・・・寂しい思いさせていたんじゃないかな?」これは、娘が不登校になった時に私自身が実際に陰で言われた言葉です。私の仲間の母親も病院の医師からこれと似たような事を言われたそうです。

しかし、今や18歳未満の子を持つ母親が仕事をしている割合は80.1%です※。正規雇用で働く割合も34.1%ということです。不登校の子の母親が「働いている母親が多い」ように見えるのは、当たり前なのです。母親の5人中4人は外で仕事をしており、母親の3人中1人は正社員なのですから・・・。この10~15年で急上昇している数値なので、少し古い感覚を持っていると、「(不登校の子を持つ親には)やけに働いている母親が多い」と見えるのかも知れませんね。

「母親の仕事」と「不登校」の間に何かしらの相関関係があるのではないか?というのは、根拠に乏しいやや思い込みに近い分析だと思われます。

また、「子どもが不登校だから仕事を辞めようか迷っている」といった相談もよく見かけますが、仕事を辞めることにはメリット(子どもとの時間が増える、遅刻や早退に対応しやすくなる)も、デメリット(収入減・親側のアイデンティティへの影響)もあります。バランスよくどちらの視点も持って検討すれば納得のいく結論が出せるのではないでしょうか。(このテーマは個別にいずれとりあげたいテーマの1つです。)

※データ出典:2024年国民生活基礎調査

「親が甘い」「過干渉」「過保護」だと不登校になるのか?

「不登校×親×甘い」も検索されているワードの1つです。甘やかしたからちょっとしたことで挫けて不登校になった。外から見るとこんな風に見えるのだと思います。しかし、経験してみると実感としてはこの逆でした。

不登校になり、部屋にこもって笑顔がなくなった娘。「笑って欲しい。声が聴きたい。」そんな切実な思いで、私も娘を行きたい場所に連れていったり、”推し”のグッズを買ってあげるという経験をしました。

また、あらゆることにすっかり自信を失っている娘にとってハードルが高すぎることは様々なサポートをしました。知らない場所に行く時は付き添ったり、学校の先生に上手く言えないことを代わりに伝えたり・・・。

こういう親を、以前の私なら「過保護」「心配性」だと思っていました。そう思える程度の常識的な範囲の厳しさと大らかさは持っていたと思います。
「過保護」も「心配性」も、必要に迫られてそうなったのであり、不登校の「原因」ではなく「結果」だったのです。

不登校の子を持つ親とそうでない親の間に違いが見つからない

前述の通り、私は仕事を通して「不登校の子を持つ親」「学校だけでなく塾にも行くパワフルな子を持つ親」両方と関わってきています。そして、両者と関わった結果、その性質に「不登校の子の親だけが持っている特徴」のようなものは無いという感触を持っています。

「お子さんに甘い家庭」「厳しい家庭」「教育熱心な家庭」「考え方が発展的な家庭」「家族仲が悪い家庭」「仲良し家族」「親が忙しい家庭」「放任主義の家庭」「大人しい家庭」「パワフル一家」色々な家庭がありますが、それはお子さんが不登校の家庭でも、そうではない家庭でも同じように存在しています。

そういう意味で、不登校の子を持つ親は想像以上に「普通」だと感じます。

「不登校の子を持つ親の特徴」は結果的に出てくるもの

不登校の子を持つ親とそうでない親の間に明確な違いはない、と言いましたが、それではなぜ、「特徴〇つ」のような分析がされているのでしょうか。また、なぜ「おかしい」「甘い」といった検索ワードで検索されてしまうのでしょうか?

これは経験に基づく私見ですが、子どもが不登校になった事によって、価値観が変化していく、その変化が一定の特徴を生み出しているのではないかと考えています。ある一定の特徴を持った親の子どもが不登校になるのではなく、子どもの不登校という経験を経た結果、特徴的な価値観の変化があるのではないかと思うのです。

不登校の子を持つ親の価値観の変化とは?~「命の問題」を乗り越えた結果~

不登校問題を研究なさっている神戸大学名誉教授 広木克行氏が講演会で「不登校は命の問題だ」と何度もおっしゃっていました。大げさな話ではなく、全くその通りです。

学校に行けないことで自己肯定感が極限まで低下し、表情の無くなった子どもが、この世界に希望を持って生きていけるんだろうか?という恐怖が家族を襲います。そんな「社会的な死」を身近に感じると、これまでこだわってきていた学歴も世間体も優先順位が下がってしまうのです。

結果として、「これまで言ってきたような小言を言わなくなる」「高い学歴を獲得することも良いが、子どもが逞しく生きていくことができるための何かを求めたい」といった行動や価値観の変化が起こります。

その変化が客観的には「甘い」「変わってる」という評価につながるのかも知れません。しかし、子どもにとってはこの変化が「わかってくれた」という安心につながります。

まとめ

不登校の我が子を前にすると、「私の育て方が悪かったのでは」と親が自分を責めてしまうのは、ごく自然なことです。けれど、ここまで見てきたように、不登校を単純に「親のせい」と説明できるものではありません。

むしろ多くの親は、子どもを守ろうと必死に向き合う中で、価値観を揺さぶられ、変化していきます。その変化は「問題」ではなく、わが子を大切に思ってきた証でもあります。そして、その変化こそが子どもが元気になるための支えになります。

もし今、「自分のせいかもしれない」と苦しんでいるなら、どうか一人で抱え込まないでください。原因探しよりも大切なのは、これから親子でどう歩んでいくか。不登校は、親を責めるための出来事ではなく、新しい関わり方を見つけていく過程でもあるのだと思います。


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監修者 峰嶋 聡子

コクーンアカデミア代表/株式会社スタディラボ上席執行役員/首都圏大手学習塾にて中学受験算数指導15年/一般財団法人日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントコンサルタント®/不登校の娘を持つ母/学習塾のノウハウと不登校保護者の視点を組合わせたフリースクールを創業

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