2026年4月3日
小学生・中学生の引きこもり 親がするべき5つの具体策

「小学生・中学生のひきこもり」実情は?
子どもが不登校になると、自室にこもりがちになったり、または部屋の外には出てきても、家の外には出なくなったりしてしまうことがあります。「これはいわゆる”ひきこもり”では?」「まさか、このまま大人になってしまうのでは?」と親としては大変不安に思うことでしょう。
さらに追い打ちをかけるように、日々のニュースで犯罪者の生い立ちとして「不登校」や「ひきこもり」の時期があったことに触れられることもあります。「ひきこもり」=犯罪者予備軍なのか?とますます不安な気持ちにさせられます。
今日はこの「小学生・中学生のひきこもり」をテーマに調査データの紹介や、対策をお伝えします。
- 「小学生・中学生のひきこもり」実情は?
- データで見る、小学生・中学生のひきこもり最新数値
- 「家からあまり出ない小学生・中学生」の割合は不登校の割合とほぼ同じ
- 「不登校」の5人に1人がひきこもり状態?
- 親が今すべき5つの具体策
- 1,部屋にこもった不登校の子どもの「ゲーム」や「YouTube」を頭ごなしに否定するのは危険
- 2,不登校の子どもと「学校」「勉強」以外に共通の話題をつくる~親から歩み寄る~
- 事例1 不登校の子どもに本の読み聞かせ
- 事例2 不登校の子どもをゲームの師匠にする
- 3,不登校の子どもに「家の中での役割」を果たしてもらう
- 4,不登校でも安心できる「心理的安全性の高い外出」に誘う
- 不登校の子どもとの外出時の留意点
- 不登校の子どもとの外出は予定通りにいかないもの
- 5,勉強や将来につながる情報ときっかけの提供
- まとめ
- 【その他関連記事・人気記事のご紹介】
- 監修者 峰嶋 聡子
データで見る、小学生・中学生のひきこもり最新数値
「家からあまり出ない小学生・中学生」の割合は不登校の割合とほぼ同じ
小学生や中学生を対象にした「ひきこもり」の調査はこども家庭庁が行っていました。
令和4年に行われた調査で、人生観や人間関係の実態、外出状況などの内容について10~39歳の男女8,555人から回答を得ています。ここではそのうちの10~14歳、1,520人の回答に注目し紹介します。

このグラフは、「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)」の設問の1つ、「あなたはふだんどのくらい外に出かけますか。(1つだけ)」への回答を筆者が円グラフにまとめたものです。
赤や黄色の暖色系で色をつけた層は、よく外出をしている層です。対して、青系の色でまとめた部分(「自分の趣味などの時だけ出かける」「近くのコンビニなどに出かける」「部屋から出るが家から出ない」「部屋からほとんど出ない」)は、基本は部屋で過ごし、家からはあまり出ない層です。
この基本的に家で過ごす層の合計割合は6.5%、人数にして1520人中98人でした。中学生の不登校の割合と大体同じくらいの割合になっています。そして、この割合は、15~39歳で9.7%、40~69歳で13.4%と増加していきます。

「不登校」の5人に1人がひきこもり状態?
10~14歳、つまり小学生・中学生の年齢層で、基本は部屋で過ごすという98人のうち、21人は部屋から、あるいは家から出ないという回答をしています。これは世間のイメージする「ひきこもり」の状態にあると言えます。
「基本は部屋で過ごす」という98人が「不登校」だと仮定すると、「不登校」のうちのおよそ5人に1人は学校以外の場にも行かず、家からも出ない状況だと推察されます。
親が今すべき5つの具体策
さて、ここからは5つの具体策をお伝えします。
実は、私自身が、部屋にこもってしまった娘に様々な働きかけをし、失敗と成功を繰り返しながら部屋からリビングへ、リビングから近所へ、近所から電車を乗り継いで学校へ・・・と少しずつ世界を広げていく姿を目の当たりにした経験者です。また、同じ経験をした多くの仲間がいます。
特に効果があったと感じる働きかけについては具体例を交えながら段階的に紹介します。
1,部屋にこもった不登校の子どもの「ゲーム」や「YouTube」を頭ごなしに否定するのは危険
子どもが部屋にこもってしまうのには理由があります。部屋の外が「怖い場所」だからです。「そんなはずはない!」「私は子どもを責めたりしていない!」と思われる方もいるでしょう・・・が、結果として部屋にこもっているのなら、残念ながらその気持ちは伝わっていません。
不登校の子どもは想像以上に敏感です。部屋の戸を開けると家族がこちらを見る、リビングで楽しそうに妹や弟と談笑している、そんなちょっとした出来事1つ1つに「家族からプレッシャーをかけられている」「妹や弟と比べられている」などと意味を見出しては苛立ったり落ち込んだりします。
そんな心のざわつく刺激が少なくなる時間が、家族が寝静まる深夜なのです。また、心に浮かぶ将来への不安を忘れさせてくれる存在がゲームやYouTubeなのです。不安を取り除くための他の方法も場所もないのに、「ゲームやYouTubeをやめろ」「昼夜逆転はダメ」というのは、子どもから全てを奪う残酷な行為と言えるでしょう。
「子どもが部屋にこもっている状態」は残念ながら、「家族が与えることができる安心感がゲームやYouTube以下」というサインだと考えるとわかりやすいと思います。部屋から子どもが出てこない状態の時に、ゲームやYouTubeを取り上げることは危険です。
「いきなりゲームやYouTubeを取り上げたり、昼夜逆転を無理やり矯正しようとしないこと」これが具体策のその1です。
2,不登校の子どもと「学校」「勉強」以外に共通の話題をつくる~親から歩み寄る~
第一段階は部屋にこもっている子どもの不安や恐怖をなくすために、ゲームやYouTubeを「逃げ場」として残しておくことでした。しかし、いつまでもそこに逃げ込んでいることを子ども自身も良いとは思っていません。他にも安心できる場所が必要です。
そこで、家族が安心できる存在になるための関係性づくりが必要になります。
ちなみに・・・便宜上、第一段階・第二段階のような表現をしていますが、順番はあまり気にしないでください。何となくで大丈夫です。こういうところで生真面目に順番通りやろうとすると、それが息苦しい雰囲気を作り出してしまいますから・・・。
実際に私が行ったことを事例として2つ紹介します。
事例1 不登校の子どもに本の読み聞かせ
ひきこもった娘の気持ちを理解したくて、私自身も多くの本を読みました。良い本がたくさんありましたが、当時、「今の娘にはこれがピッタリ!」と読み聞かせることにした本があります。
「1日誰とも話さなくても大丈夫」精神科医がやっている猫みたいに楽に生きる5つのステップ(精神科医 鹿目将至著)
※現在は電子書籍のみの販売。他にも同医師による多数の著書・監修書籍あり。
著者である精神科医の鹿目先生が、自身のぐうたらな部分をさらけ出して、「いいんだよー、そんなに頑張らなくて」と語りかける内容です。うつの大人向けに書かれた本でしたが、親しみやすくてわかりやすく、また「大人でもこんな感じなんだよ」と伝わることで、肩の荷が降りるのではないかと思いました。
「面白い本を見つけたから、1日10分、勝手に読み聞かせちゃうよ」と、娘の部屋に行き、読み聞かせをしました。もう読み聞かせるような年頃ではありませんでしたが、自分では読まないだろうと思ったので・・・。
娘にも面白く感じられたみたいで、声を出して笑っていました。
読み聞かせをすることで「私はあなたの敵ではない。一生懸命理解しようとしているよ。」という気持ちが伝わったと思います。
事例2 不登校の子どもをゲームの師匠にする
子どもをゲームの師匠にする・・・これは多くの先輩保護者の体験談からも「親子の信頼関係づくりのきっかけになった」と紹介される方法の1つです。「ゲーム」は一例で、他のものでも構いません。アニメ、動画作成、イラスト、ダンス、アイドルの評論、2.5次元・・・お子さんが好きな事で「これなら語れる」という分野にぜひ、踏み込んでみてください。
例えば、ゲームを教えてもらった私の場合ですが・・・
ゲームでクリアできないところを教えてもらうことで自然と会話が増えたり、ゲームの「マルチプレイ」という機能を使って、ゲームの世界の中で一緒にプレイをしたりしました。部屋からなかなか出てこなかった娘が「マルチプレイしよう」と部屋から出てきて私に声をかけるようになったのは大きな変化でした。
また、やってみるとわかるのですが、ゲームを通して学べることも意外に多いです。算数の割合の勉強やN進数の概念、歴史、ちょっと難しい言葉、英単語、戦略の組み立て方などなど・・・。

まとめると、「子どもの世界に親の方から歩み寄ること」が第二段階ということになります。部屋の外を「怖い場所」にしないために必要なことです。
3,不登校の子どもに「家の中での役割」を果たしてもらう
我が家の娘は、ペットとして兎を迎え、そのお世話をするというミッションを得たことをきっかけに籠っていた自室からリビングに出てくるようになりました。
自分が守らなくてはならない、小さくかわいい存在ができたことは部屋の中でのひたすら自分と向き合う日々に変化をもたらしました。

生き物や植物のお世話が好きなお子さんからは似たようなエピソードをお聞きしたことがあります。まさに「守るものができると強くなる」ということなのでしょう。
また、生き物や植物のお世話でなくても、「洗濯物を取り込む」「自分のお昼ごはんを自分で用意する」などのちょっとした役割を与えているという話もよく聞きます。
「楽しいから&安心だから部屋から出てくる」だけではなく「やるべきことがあるから部屋から出てくる」ことで部屋から出てくる機会を増やしていくことが第三段階です。家族の一員として役割を果たすことで、少なくとも家族に対しての後ろめたさが軽減され、部屋からも出てきやすくなることでしょう。
4,不登校でも安心できる「心理的安全性の高い外出」に誘う
部屋から出てきて、リビングで安心して過ごせるようになったら、次は外出です。長らく部屋に籠っていた子どもとの外出にはいくつかの留意点があります。
下記は、実際に我が子を連れだしてみて気づいた事や、同じ不登校の保護者から出てきた注意点です。お子さまの性格により配慮が必要かどうかは変わると思いますが、予め想定しておくと子どもにとって安心できる外出になります。
不登校の子どもとの外出時の留意点
①外出の時間帯
学校の友達と会う可能性のある時間帯は嫌がります。学校の登下校の時間帯と重ならないように予定を立てましょう。
②衰えた体力への考慮
部屋に籠っていた子どもの体力は想像以上に低下しています。2~3時間も外出すれば、元気な子の1日分くらいの疲れを感じてしまいます。暑さ・寒さへの耐性も衰えているので、熱中症対策などもしっかり行う必要があります。
③靴や洋服のサイズ確認
成長期の子どもが半年くらい外出しない期間ができてしまうと、靴のサイズが合わなくなっていることも珍しくありません。せっかく久々の外出をしようとしたのに、履ける靴が無くて断念・・・などということにならないよう、靴や洋服のサイズも確認しておきましょう。
不登校の子どもとの外出は予定通りにいかないもの
不登校のお子さんは、学校にも行くと決めた日に行けなくなることがよくあると思いますが、学校以外の場でもそれは起こります。予定が狂っても問題ないよう、可能な限り、準備をしておきましょう。
例えば我が家では、楽しみにしていたテーマパークでアトラクションの列に並んでいる途中で、娘の気力・体力が限界を迎えて列から外れて帰ったことがあります。フリースクールや通信制高校の見学も申し込んでも実際には行けず、親だけで行くことがほとんどでした。
遊びの外出の際は途中で帰ることになっても良いよう、弟や妹がいる場合は大人が複数で連れていく(別々に帰れるように・・・)、高額なチケット代がかかるものは体調が安定するまでは避けるなど、事前に備えておくことをお薦めします。
心の準備ができていないことに対しては、大人でもイライラしてしまったり、がっかりしてしまったりしがちです。しかし、「予定通りにはいかないもの」と、心の準備ができていれば「大丈夫よ。また体調のいい時に来よう。」と、子どもを安心させられる言葉をかけることができます。
不登校のお子さんが安心して外出できるよう、様々な状況を想定しておきましょう。
5,勉強や将来につながる情報ときっかけの提供
さて、ここまで紹介してきたアプローチはすべて、子どもの不安を取り除くことを目的にしたものでした。
そのため、ここまで到達しても「親の不安」はまだ解消されていないことでしょう。
親が不安に思うのは「家から出ない」→「学校に行かない」→「勉強ができない」or「社会性が身につかない」→「働くことができない」というストーリーが頭の中にあるからです。本命である「勉強」や「社会性」につながるアプローチはまだできていません。
そこで、浮上してくるのがフリースクールや通信制高校です。 フリースクールや通信制高校は、不登校の子どもが通うことを想定してプログラムが作られていることが多いので、学校の代わりに将来につながるような刺激を受ける場として最適です。
しかし、フリースクールや通信制高校の体験会・オープンキャンパスに子どもを連れだすこともなかなか大変なのではないでしょうか。実際、全日制高校の学校選びのためのイベント(合同相談会、進学フェアなど)ではほとんどが親子連れで来場しますが、通信制高校のイベントでは、親子で来る方が少数派、親だけで来場する場合の方が多いです。
良いスクールや通信制高校を見つけると、すぐに連れ出してみたい気持ちになることと思いますが、部屋に籠っていた時期のあるお子さんは、「親が情報収集をして子どもに情報提供をするだけ」の時期がしばらく発生します。このことを念頭に入れておくとお子さんのペースに合わせた対応ができるでしょう。
まとめ
小学生・中学生の「ひきこもり」は、決して特別なことではなく、一定数の子どもたちに起こりうる状態です。そして、その背景には必ず「怖さ」や「不安」といった理由があります。
大切なのは、「無理に外に出すこと」や「正しい方向に戻そうと急ぐこと」ではなく、子どもにとって安心できる場所や関係性を少しずつ取り戻していくことです。
今回ご紹介した5つの具体策は、どれも特別なスキルが必要なものではありません。
親が少し視点を変え、子どもの世界に歩み寄ることで、ゆっくりと変化は生まれていきます。
実際に、部屋から一歩も出られなかった子どもが、リビングへ、そして家の外へと少しずつ世界を広げていく姿は、決して珍しいものではありません。
また、家庭以外にも安心できる居場所や関係性を持つことが、子どもにとって大きな支えになることもあります。筆者が運営する「コクーンアカデミア」でも、同じような悩みを抱えたご家庭のサポートを行っており、それぞれのペースに寄り添いながら、一歩ずつ前に進むお手伝いをしています。
焦らなくて大丈夫です。
子どものペースを信じながら、「安心できる今日」を積み重ねていくことが、やがて「未来」につながっていきます。
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監修者 峰嶋 聡子
コクーンアカデミア代表/株式会社スタディラボ上席執行役員/首都圏大手学習塾にて中学受験算数指導15年/一般財団法人日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントコンサルタント®/不登校の娘を持つ母/学習塾のノウハウと不登校保護者の視点を組合わせたフリースクールを創業

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