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習い事も行けない不登校、無理しない回復プランとは?

2026年2月18日

習い事も行けない不登校、無理しない回復プランとは?

子どもが学校に行きづらい状況になると、親としては「せめて習い事だけでも行って欲しい」と願うものです。ところが、実際には学校に行けなくなるばかりではなく、習い事にもだんだん行かなくなってしまう例がよくあります。

今回は実際の例も紹介しながら、不登校の子どもにとっての習い事がどのようなものなのか考えてみたいと思います。

不登校の親子が習い事に期待することは何?

一般的に習い事に求めるものは?

一般に習い事にはどのような目的あるいは効果があるのでしょうか。色々な分類の仕方があると思いますが以下の3つに分類してみました。概ね、これらの目的の組み合わせで、習い事を始めたり続けていくことが多いのではないでしょうか。
なお、ここでは「受験」を目指しての塾通いは性質が異なるため、それ以外の習い事を対象に取り上げています。

1,習い事で「身体」のベースをつくる

習い事にはサッカーや野球、空手、スイミング、バレエ、体操、ダンスなど、身体を動かすものが多くあります。こうした「体力づくり」「身体の柔軟性を高める」など、健康に育ち、生きていくための身体のベースづくりは習い事の目的の1つです。

2,習い事で「能力・スキル」のベースをつくる

ピアノ、英会話、プログラミング、サイエンス、絵画、ソロバンなどの習い事は、知識や技術を身に着けることができる習い事です。これらの習い事をやっていると、学校で関連した科目を学ぶ時に自信を持って取り組むことができます。英会話を頑張って英検などの資格取得をしたり、大学入学共通テストの正式科目になっているプログラミングを学べば入試にも役立ちます。また、将来の仕事につながる場合もあるでしょう。

さらに、最近では「計算力」「語彙力」のような点数化しやすい能力ではなく「思いやり」「やりぬく力」といった非認知能力の育成にも注目が集まるようになっています。

3,習い事で「心」のベースをつくる

習い事によって得られるものは、体力、知識・能力の伸長などのわかりやすい成果だけではありません。没頭できる好きなものが見つかったり、共に競い合うライバルと出会ったり、これだけは得意だと胸を張れる特技ができたりすることがあります。
先ほどの「非認知能力」と似ていますが、「能力」である必要はなく「自分らしさ」「友達」「趣味」など、豊かな人生を送るために必要な何かを得ることも習い事の効果の1つでしょう。

それは、スポーツ系の習い事、音楽やアートなどの芸術系の習い事、勉強系の習い事、どれでないといけないということはなく、幅広く様々な習い事から得られる効果と言えます。

不登校の親子が習い事にもとめるものは?

では、不登校の親子にとっての「習い事」はどのような意味を持つのでしょうか。基本的には学校に行っていても行っていなくても習い事に求める3つの要素、「身体」「能力・スキル」「心」の育成をしたいという思いは変わりません。しかし、それを求める切実さ、ハードルの高さなど、前提の部分が大きく違ってきます。

1,不登校親子にとっての「身体をつくる」習い事とは?

不登校の子どもは、外出の頻度が減りがちです。学校に行かないため、それだけでも家から出る機会が減るわけですが、学校とは関係の無い外出も「クラスメイトに会うのが気まずい」という理由から控え目になりがちなので、極端な運動不足に陥っている場合があります。
一般的な「身体をつくる」という目的とはちょっと異なり、「筋肉の衰えを防ぐための最低限の活動を維持する」場が必要になってきます。そういう意味で、スポーツ系の習い事は少し運動量がハードすぎると感じる場合があるでしょう。

また、スポーツ系の習い事の中にはサッカー・野球・バレエ・ダンスなど、チームで取り組むものも多くあります。休んでしまうと他のメンバーに迷惑がかかるため、参加が不安定になりがちな不登校の子どもには、心理的にも負担感が大きくなります

2,不登校親子にとっての「能力・スキルを育てる」習い事とは?

学校に行かなくなると、「(学校に行けない代わりに)得意な事や好きな事を伸ばそう」という考え方で習い事を選ぶ場合があります。また、小中学生の場合は、「義務教育レベルの勉強くらいはしておかなくては」ということで、学校の代わりに(受験目的ではなく)塾通いを検討する場合もあります。

どちらの場合も根底には「学校に行かないことを後ろめたく思わせたくない」「自信を持たせてあげたい」という共通した親の思いがあります。しかし、そうした親の思いが強く出ると習い事に義務感が生まれ、習い事に行くことがプレッシャーになってしまうことがあります。

3,不登校親子にとっての「人生を豊かにする」習い事とは?

不登校の子どもが最も落ち込んでいる時期には部屋からも出てこず、家族とも会話をしなくなることがあります。

そんな様子を目の当たりにすると、とにかく、子どもが「生きていて楽しいと思って欲しい」と親の願いも切実なものになります。
そんな切実な願いを持つ親にとっては、習い事に求めるものは「体力がつく」とか「何かのスキルが身に着く」といった具体的なメリットよりも「やりがい」「生きがい」「楽しさ」「安心」「友達」など、目には見えない価値の方が重要な要素になってきます。

習い事選びの基準や優先順位が「不登校」という前提があると随分変わってくることになります。

不登校と習い事、現実は?

さて、実際の例を1つ紹介します。身近な事例で恐縮ですが、我が家の不登校娘の事例です。

習い事は結局全部辞めたが「乗馬」は将来の夢につながった

当時小4の娘が学校に行けなくなったころ、習い事は学習塾・バレエ・理科実験教室をやっていました。私自身の幼少期と比べると3つというのは多いですが、周囲の友達と比べると「普通」でした。
学習塾は週2回と負担が大きかったため、早い段階で辞めることにしました。理科実験教室はあまり負担が大きくなかったので1年くらいは続けられましたが、休みがちになり辞めました。バレエは、教室自体が半年後にクローズすることが決まっていたので、発表会まではやろうということで続けました。
こうして、不登校になってから1年以内には全ての習い事を辞めることになりました。学校にも行っていないため、習い事を辞めた後は娘は外出する機会が全くなくなってしまいました・・・。

そこで、「このままではまずい」という危機感と、「動物好きの娘が少しでも元気になれば」という思いから乗馬の体験レッスンを受けてみました。体験レッスンを受けると「やってみたい」と言うので、早速通うことにしました。

 通っていた乗馬クラブはここ→「クレイン乗馬クラブ」

「乗馬」と言うと、お金のかかりそうな習い事に見えますが、子どもは会費が安く、月2回くらいの騎乗であれば塾代よりも安い月謝で始めることができました。

数か月通うと、先生から「5級取得」を勧められ、せっかくだから目標を持とうと受検申込をしました。ところが・・・受検日が決まったとたん、予約している日に「体調が悪い」と言って休むようになってしまいました・・・。
受検が負担なら、乗るだけでもいい、とハードルを下げましたがそれでも不安定さは続き、月会費を払っているのに1回も行けない・・・そんな状況になりつつあったため、乗馬も泣く泣く辞めることになりました。

それはもう、親としても落ち込みました。好きなことさえも続けられないなんて・・・と。

それから3年後、じっくりと時間をかけた心の回復期を経て、娘はかなり元気になり将来の夢を語れるようになりました。
なんと、将来は動物の世話をする仕事に就きたいそうで、中でも特に馬の世話に興味があるそうです。

AIが人の代わりの業務の大半をこなせるようになる時代になっても、動物の世話など、手を動かす仕事の価値は相対的に高まっていく可能性があります。結果として良い方向性になったのかなと思っています。

不登校の子どもの習い事が続かないのはよくある話

さて、我が家の不登校娘が習い事を全て辞めたものの、やっていたことが無駄にはならなかったという事例を紹介しましたが、これに似た話はとてもよく聞きます。

私の周りの学習塾にも、不登校のお子さんが通塾する事例が多くなってきていますが、やはり、普段学校に行っているお子さんと比べると、どうしても、次第に通えなくなってしまうことが多いようです。でも、通っていた期間の学習の基礎がその後の学習の遅れを最小限にとどめていることは確かです。

「これだけは」と続けていたサッカーを辞めてしまったお子さんの話もありました。しかし、数年後、そのお子さんが元気になってから真っ先に再開したのはサッカーだったそうです。

不登校の親子に提案!習い事で「好き」のカケラが見つかれば万事OK

最後に、不登校の親子が習い事に求めるもの、そして、実際に通うことになる子どもの状況・・・理想と現実を踏まえ、不登校親子の皆さんに、習い事を始めたり続けたりするにあたっての提案をします。

習い事の「ありえない」を全部OKにしてください

学校に行くことができていないお子さんにとって、習い事もハードルが高いということは何となく察していただけたでしょうか?このハードルの高さをわかってあげられないと、親が「なぜ好きで始めた事なのに続けられないのか?」とお子さんを責めてしまったり、落胆してしまったりします。(かつての私のように)
そのことで更にお子さんが傷つき、心の回復が遅れる原因にもなってしまうことでしょう・・・。
そのような事を避けるために必要なことは、親が「ありえない」とまゆをひそめるような事を全てOKするマインドです。具体的には以下の3つです。

①習い事に目標を持たなくていい

習い事では、習い事を続けるためのモチベーション源として、「目標設定」を推奨しています。それはとても正しいことです。
でも、不登校のお子さんは知っているのです。何かを目指すことになると”●級を目指しているんだから”の後に続く「練習しないとね」「休んじゃダメ」「続けなくちゃダメ」というたくさんの足かせが自分を苦しめることになることを。
何も目指さず、ただ、楽しむ。ただ、学ぶ。そういう場が必要です。

②習い事はドタキャンしてもいい

不登校の子どもには、習い事においても「学校を休みたい」という時と全く同じ症状(腹痛・頭痛・吐き気等)が出てくることがあります。無理やり行かせようとすると、逆効果であることはご存知のはずです。休みたい時は休ませた方が、細く長く続けることができます。

習い事選びの段階から、「振替がしやすい教室を選ぶ」「月1回しか行けなくてもまあいいかと思える月謝・内容を選ぶ」など、ドタキャンを想定した選び方をした方が、気持ちが楽になります。

③習い事が合わなかったら、すぐ、やめていい

「一度始めたことをすぐに辞めると、辞めグセがつく」大人はこんな風に思います。私も思っていました。不登校の子どもにそうした精神の鍛錬みたいなものをさせたいのなら別ですが(全く、オススメはしませんが)、「自分らしさ」「没頭できる趣味」など、心の栄養になるものを見つけてあげたいのなら、見つかるまであれこれやってみればいいと思います。そのためには合わないことをいつまでも続けるのはむしろ、時間の無駄です。

まとめ~オススメしたいのは「ゆるい」習い事~

「目標を持たずに、休みたいときに休んで、やめたい時にやめられる習い事」・・・まとめてみると、とても「ゆるい」習い事ということになります。

不登校の子どもにはこういうゆるい習い事がオススメです。個人がやっている教室の方が融通が利くものがあるかも知れませんね。地域の公共施設がやっている「1日ナントカ教室」などの短期イベントも良いかも知れません。

また、フリースクールもオススメです。フリースクールでは、子ども達が興味を持てそうな様々な活動(工作、科学実験、フィールドワークなど)をプログラムに組み込んでいます。

例えば、私が運営するフリースクールでは、オンライン英会話を受講できるようにしていますが、不登校のお子さまが受講しやすいかどうか?を重視して取り入れています。30分前までならキャンセルができ、自宅で受講することもできるので、不安定な部分があるお子さまでも負担がありません。

こんなに都合の良い習い事を見つけるのはなかなか大変そうですが、周りの大人が「大人にとっての習い事の当たり前」を押し付けないようにするだけでも、「ゆるさ」「ゆとり」が生まれるはずです。

習い事で「好き」のカケラが見つかれば万事OK!こんな心持ちで習い事と向き合ってみてください。


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監修者 峰嶋 聡子

コクーンアカデミア代表/株式会社スタディラボ上席執行役員/首都圏大手学習塾にて中学受験算数指導15年/一般財団法人日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントコンサルタント®/不登校の娘を持つ母/学習塾のノウハウと不登校保護者の視点を組合わせたフリースクールを創業

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